君の神様になりたかった
僕は弱い。
子供の頃からずっと。
誰も救うことができない。
誰も守ることができない。
誰にも必要とされない。
僕は弱い。
ずっと。
「何言ってんだお前?」
中1の頃、バスケ部で同級生だった奴にそう言われた。そいつは自分とは違い、ミニバスからやってる奴で運動神経もずば抜けている奴だった。
「お前強いだろ。なんなら俺より強い」
そう続ける彼の言葉の真意は分からなかった。
彼は一年生なのにスタメン。対して自分は運動音痴のど素人。
冗談とか皮肉の類だろうか?
当時はそう思っていた。
時は過ぎて中学3年の夏。
うちのバスケ部は、地元ではそこそこ強かったこともあり、地区予選を勝ち抜き県大会に出場していた。ただ、そこに自分はいなかった。
弱かった自分は、強くなっていく同級生達と後輩に耐えられず、程なくして部に顔を出さなくなっていた。
何もしたくなかった。
自分は逃げた人間。もう普通には生きられない。周りの同級生達からは後ろ指を刺される日々。
バカだよなと思う。
一人になって。
目標も失って。
好きなものも捨てて。
風の噂で、バスケ部が県大会を突破したことを聞いた。結局、全国には行けなかったらしいが健闘したらしい。後にも先にも県大会を突破したのは、自分達の代だけらしい。
ただ、自分はそこから逃げていたのだけど。
その8年後。
僕は趣味でバスケをするようになっていた。
本格的なものではなく、好きなやつだけが集まるバスケサークルに参加しているだけだ。
ある日、そこに知っている奴が現れた。
中学のバスケ部の同級生で、エースだった奴。
そして、僕に強いと言った奴だ。
彼はずっとプロの選手になるものだと思っていた。ただ、彼はバスケ選手になる夢は諦めており、今は県庁に務めているとのことだった。
僕はそいつに合わせる顔がないと思っていた。だが、彼の話を聞いて、僕は何故だが納得が出来なかった。
自分と違って、彼には才能があったから。
激昂する自分のことが自分でも理解できなかった。
ただ、怒る自分を見て、彼は笑うのだった。
「やっぱお前は強いな」
と。
誰かを救いたかった。
誰かを守りたかった。
誰かに必要とされたかった。
自分は弱いから。
でも、
弱さがときに、
強さに変わることもある。
僕は今、トレーナーとして
彼のサポートをしている。
彼の心身のケアが
自分の仕事だ。
強さの種類は一つじゃない。
誰だって、強くあれる。
自分を卑下しちゃいけない。
自分の中にある輝きを信じて。
次は
キミだ。
おわり
※この話は自分の経験を基にした創作です。
どこを基にしたかというと、途中からサボってたとこです。
みなさん、何事も諦めるのは良くないよ。
諦めるにしても人間関係は大事にしなよ。
以上、部活サボってからの人間関係の歪みにより、中三から大学入るまでボッチだった男からの忠告です。
ではまた。